風の詩ーー君に届け
「えっ!? 順番があるってこと?」



「はい、リクエストもダメなんです。

女神像の下で弾くのは、エルガーの『愛の挨拶』なんです」



「エルガーの『愛の挨拶』……あんな甘~い曲?

あれって愛の告白……」



「あの……ヴァイオリンロマンス、ご存知ないですか?」



女学生は頬を染め、もそもそと遠慮がちに訊ねる。



「聞いたことはあるけれど方法は、サッパリ」



「えっと………何してるの?」



説明しようとするナビ役の彼女の横で、銀貨を投げた彼女が鞄の中からファイルを取り出す。




無口な女の子だな、誰かとは大違いだと詩月は思う。


「これを」


ファイルから取り出したコピー用紙をそっと差し出す。



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