風の詩ーー君に届け
「アハハ……恋が実るっていうのは少女趣味かと思うが、

音楽の祝福をって方は魅力があるよな」




「成就させたいという願望だけではダメですよね。

そこに向かう意志がないと」



「確かにな。

ところで周桜、ずいぶんと忙しそうだが……体調はどうなんだ?」



「用心はしています。

CMの影響で、苦い思いもしてるんだけど……何とか」



「理久と郁が心配していた」



「あの2人は心配性だから」



「まだ……続いているのか? その、」



「ええ、まあ……シカトされるよりマシでしょ!?」





それは、そうだがと安坂は思いながら詩月の顔を見る。




「見かけによらず、打たれ強いのな」



「そう、ですかね」



フッと顔を上げ、詩月はクスリ笑ってみせる。




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