風の詩ーー君に届け

彼らは番組録りを終え、真っ直ぐ試写会に駆けつけたのか、衣装のままだった。


「忙しそうだな」



詩月は化粧品広報室で、顔を合わせた彼らに開口一番、そう声をかけた。




「詩月さん、そう言う詩月さんも」



リーダーの少年「昴」は笑顔で返す。



その後ろで、はしゃぎながら部屋へ入って来た少年「遥」は、見るからに体育会系だ。



詩月に気づくなり、首を傾げた。




「あれ!?　詩月さん、少し痩せた？」



「まあね……」



詩月は薄く微笑み言葉を濁す。



「元から細いんだからさ、無理しないようにね」



人懐こい笑顔で言う。



「ありがとう」



詩月ははにかみながら静かに言うと、澄ました顔に戻った。




「今度のＣＭもスゴく楽しみなんだ。
僕らはさ、演奏に合わせて、あてぶりだけど詩月さんたちは大変だったんだよね」