風の詩ーー君に届け
「なんで、平然と観ていられるんだ!? 

今回だけではないってわかっているなら何故、やめさせない!?」




理久が声を張り上げる。




「言っただろう!? 

彼女はオーナーの娘だって。

彼女を怒らせたら、こっちの首が危ない」




「はあ!?」




「それに彼女の苛めはさ、彼に限ったことではないんだ。

今まで、何人も新人が彼女の苛めに根をあげ辞めていった」




「……なっ、何人も」




「今までのヤツは2ヶ月もてばいいほうだった。

彼は1ヶ月ももたない……

誰もがそう思ってた」




「アイツはそんな柔じゃない」




「親の七光りで入ってきた


……その程度にしか思っていなかった。

マエストロ・ジョルジュが、相性が悪いって彼女を降ろした理由を誰も理解できなかった……

彼が初合わせで演奏するまではな」




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