シンデレラガール
セットに着き、真っ直ぐにあたしはあかりちゃんを見つめる。

まだ、監督の声が掛かっていない。


「あかりちゃんは、誰かの恋愛相談とか乗ったことある?」

「何度か」

「なら、あたしをその子だと思って」

「え?」


あかりちゃんは困ったような顔を浮かべる。


「台詞は後からでも良い。とりあえず、自分ならどんな風に友達の恋愛相談に乗るか?それだけを考えて、今は演技をして」


そして、、、


「始めるよ」


監督のその声が掛かり、あたしは、、、


「あたし、、、立花先生のこと、好き」


葵の台詞を口にする。


「え?」


あかりちゃんは、台本にない声を上げる。

でも、監督はそんなあかりちゃんの演技を止めない。

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