カットハウスやわた
「やめてよ……土下座なんて、みっともない!」


「じゃあ、許してくれる?」


ガバッと頭をあげた正樹の目は、充血していた。


「それとこれとは別!」


サンドイッチを頬張りながら、正樹を怒鳴りつけた。


「別れよう?私の代わりは、いくらでもいるでしょ?」


「真矢はひとりしかいないし、オレが本気で好きな女も……」


「ふざけないで」


サンドイッチを投げつけたい気持ちと、泣きたい気持ちを抑え、落ち着いた口調で言った。


「ごめん、二度としないから、どうか別れるなんていわないで……」


私は、この男のルックスが好きだっただけ。浮気をして、別れないでと泣きつく情けない姿に、千年の恋も凍結した。


「さよなら。もう二度と来ないで」



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