カットハウスやわた
チリンチリン……と、自転車のベルが鳴った。


「やっぱり!あの時の……」


立ち止まり、振り返った私に、笑顔を向けた。
八幡さん、だ。


「こんにちは……」


定休日に来てしまったところを見られて……なんだか恥ずかしくなり、小さな声で挨拶をした。


「こんにちは!よかったら、コーヒー飲んでいきます?」


八幡さんは、今日も私の名前を聞かなかった。黙ってうなずくと、跨っていた自転車から降り、私の隣に並んで歩きだした。


「定休日なのに……すみません」


「散髪屋は定休日だけれど、うちは喫茶店じゃないからね、気にしないで」


「ありがとうございます」


「わざわざ遠くから来てくれたのに、定休日で申し訳ない」


「いえ……私も思い立ってきたものですから……」



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