カットハウスやわた
私は、八幡さんの仕事が終わるまで、ガラス越しに見ていた。


買い物ついでに髪を切りに来た……という感じのおばさん相手に、和かに話をしている。合わせ鏡で、長さを確認してもらっている。もう、切り終えたようだ。


おばさんは、満足そうに大きくうなずいた。ケープに散らばる髪をささっと払い、マジックテープを外して、ケープを脱がせる。首まわりをそっとタオルで拭う。


会計を済ませたおばさんを、出口まで来て見送るようだ。喫茶店時代の名残りか、ドアにはカランコロンとなる鐘がついていた。


「ありがとうございました」


「こんにちは」


おばさんを見送る八幡さんに、声をかけた。


「おっ!こんにちは、綴喜さん。引っ越しは、無事に終わった?」


「ええ。おかげさまで……」


「よかったらコーヒーでも……と言いたいところですが、まだ営業中なので」


「いえいえ、報告をするために来ただけなので……それと……」


「それと?」


「私、いつから働けばいいですか?」



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