カットハウスやわた
「拓弥って、呼んでくれないかな?」


「拓弥さん、っていう名前なんですね」


興味は全くないが、一応、言ってみた。すると、嬉しそうに笑いながら


「仕事が終わったら迎えに行くからね、真矢」


……なにを勘違いしてんだ?恋人気取りされても困るし!私は、相変わらず食べることに集中しながら、さりげなく提案することにした。


「それなら、営業中に来てください」


「え?どうして⁉︎」


「私、短髪が好きなんです。爽やかな髪が」


遠回しに「その鬱陶しい髪、なんとかしてよ」と言ってみるが、ナルシストは気づかない。


「真矢は、短いほうが好きなんだね?オレが短くしても似合うとは思うけれど、今のこの髪がオレに一番しっくりとくる」


いや、しっくりときていないと思っている人のほうが、多い気が……。


「そうですか。残念だな」


私は、ごちそうさまをすると、熊野さんをおいて席を立った。




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