カットハウスやわた
ベーカリーを出て、八幡さんの店に向かった。‘‘おやすみ中です’’になっている店のドアを勢い良く開ける。


「おはようございます!」


八幡さんは、座ってスポーツ新聞を読んでいた。広げた新聞から、ちょこっと顔を出す。


「おはよう」


挨拶だけすると、また熱心に新聞を読み始めた。


「スポーツ、好きなんですか⁉︎」


エロい記事を熱心に読んでいないことを願いながら、聞いてみる。


「サッカーが、好きで……。あー、昨日、リベルタス負けちゃったよ」


サッカーか。私は、全く興味がないから、リベルタスっていうチームがあることも知らない。


「サッカー観戦に行くんですか⁉︎」


「都合があえば時々、ね。ただ、Jリーグって基本、水曜日と土曜日が試合の日だし、店を休めないし……。もしかして、興味ある?」


「ぜんっぜん!」


「そうかぁ。でも、一度LIVEで観たらおもしろいと思うよ!」


「またの機会に……あの、外の掃除をしようと思うんですけど、ほうきとちりとりありますか?」


「あ、ごめん。よろしく」


八幡さんは新聞をテーブルに置くと、ほうきとちりとりを持ってきて渡した。それと……


「うちの、制服」


そう言って、水色のストライプのエプロンを渡した。



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