カットハウスやわた
「お待たせしました……ええっ!?そこ、座る!?」


男は、足で踏むと上下する椅子に座る私に、オーバー過ぎるツッコミをいれた。


「えっ?だって……ここにしか椅子が……」


あ、あった。 雑誌やコミックが置いてあるところに、椅子とテーブル。大きな鏡にバッチリ映っている。


普段は、クールを装っているが、油断すると天然が出てくる。


男は、テーブルにコーヒーを置くと、鏡越しに手招きをした。


「コレ、商店街にあるベーカリーのクロワッサン。香ばしくて、おいしいから、どうぞ」


「すみません……いただきます……」


鼻をくすぐる、甘い香り。淹れたてのブラックコーヒーを口にして、ふぅとため息をついた。その後でクロワッサンを口にすると、バターの風味が口いっぱいに広がった。



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