カットハウスやわた
夏の魔法
熊野さんに口説かれながらも、その都度丁重にお断りしたり、天田整骨院の息子に絡まれながらも、やんわりと受け流したりしながら、日々が過ぎていった。
鬱陶しい梅雨を乗り切り、青い空が広がる。季節は、すっかり夏だ。服装も長袖から半袖になると、しつこく誘ってくる熊野さんの髪型が、気になって仕方がない。
「今度の月曜日は、バーベキューに行くよ」
朝からベーカリーの二階で、熊野さんに絡まれた。
「バーベキュー……ですか?」
「毎年七月に、久世精肉店主催でバーベキュー大会をやってるの。今年は二十八日」
二十八日⁉︎八幡さんのカレンダーに赤い丸印がついていたのを思い出した。
「でもその日、八幡さんは参加できないんじゃないですか⁉︎」
「お昼からだから、大丈夫だよ。アイツの仕事は午前中には終わるから」
「仕事?」
「アレ⁉︎聞いてないの?毎月最後の月曜日は、出張散髪してる……って」
「聞いてません。そもそも出張散髪ってなんですか?」
「この近くの老人ホームやケアプラザに出向いて、髪を切ってるのさ。まさやんらしい奉仕というか……一銭にもならないのにね」
八幡さんらしい奉仕に、熊野さんらしいひと言。思わず、言ってしまった。
「ついでにその髪を、短く切ってもらうといいですよ、熊野さん」
その鬱陶しい髪を、ね!
鬱陶しい梅雨を乗り切り、青い空が広がる。季節は、すっかり夏だ。服装も長袖から半袖になると、しつこく誘ってくる熊野さんの髪型が、気になって仕方がない。
「今度の月曜日は、バーベキューに行くよ」
朝からベーカリーの二階で、熊野さんに絡まれた。
「バーベキュー……ですか?」
「毎年七月に、久世精肉店主催でバーベキュー大会をやってるの。今年は二十八日」
二十八日⁉︎八幡さんのカレンダーに赤い丸印がついていたのを思い出した。
「でもその日、八幡さんは参加できないんじゃないですか⁉︎」
「お昼からだから、大丈夫だよ。アイツの仕事は午前中には終わるから」
「仕事?」
「アレ⁉︎聞いてないの?毎月最後の月曜日は、出張散髪してる……って」
「聞いてません。そもそも出張散髪ってなんですか?」
「この近くの老人ホームやケアプラザに出向いて、髪を切ってるのさ。まさやんらしい奉仕というか……一銭にもならないのにね」
八幡さんらしい奉仕に、熊野さんらしいひと言。思わず、言ってしまった。
「ついでにその髪を、短く切ってもらうといいですよ、熊野さん」
その鬱陶しい髪を、ね!