カットハウスやわた
月曜日の朝。


『ピンポーン』


時計を見ると、まだ朝九時。誰だ?こんな時間にインターフォンを鳴らすのは……と思いながら、ドアを開ける。


「おはよう」


熊野さんが爽やかな笑顔を振りまく。ナルシストなところは嫌だけれど、髪を切ってから、なんだかドキドキさせられる……。


「おはようございます……朝からどうかしましたか?」


「朝早く目が覚めたから……真矢の顔を見たくて……」


そう言うと、目配せをした。昭和の少女漫画かなにかですか?顔だけ見るとときめくけれど、一気に冷めるわ!


「そうですか。私、バーベキューの時間までに掃除や洗濯を済ませたいので……」


閉めようとしたら、グッとドアを開かれた。


「おじゃまします」


「あ、ちょっと!熊野さん……」


勝手に部屋に入られた……。


「掃除しなくても、片付いてるね」


熊野さんはそう言いながら、お気に入りのクッションにドサッと座った。


「モノを置くのが好きじゃないので、片付いて見えるだけです」


「ふぅーん」


部屋中を、物色するかのように視線の先をコロコロと変える。私は、お茶も出さずに風呂掃除をするために向かった。


しばらくすると、風呂場のドアをトントンとする音がした。


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