カットハウスやわた
「ありがとうございました。ごちそうさまでした……」


「また明日から、頑張ってもらわないとね」


「……」


「まぁ、無理しなくてもいいけどね」


八幡さんの笑顔に、私もつられた。自転車を転がしながら、ゆっくりと歩いて帰った。ゆっくりと歩いているだけで、身体中から汗が流れる。夏の日差しは容赦無くふたりに降り注いだ。


店の脇に自転車を止めると、八幡さんが鍵を開けてくれた。


「暑い!すぐエアコンつけるから」


そう言って、私に椅子を勧めた。軽く会釈をした私は、椅子に座った。店内のエアコンをつけ、二階に上がる八幡さんの背中を見送りながら。




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