カットハウスやわた
「とにかく……突然、やり直せって言われても困るから……。少し冷静になって?オレにも、時間をくれないかな?」


この状況でよく冷静さを保っていられるな……。私が八幡さんなら、ケンカになってるよ……。


「わかった。じゃあ、いつまで待てばいい?」


「一ヶ月後、またここに来て。午前中、仕事でいないから、午後にでも」


「一銭にもならない仕事、ね」


麗奈さんが、カレンダーをめくりながらつぶやいた。まるで、熊野さんの女版のようだ。そして、再び私に視線を向けた。


「あ、綴喜さん……って言ったよね?早く新しい仕事、みつけなさい」


あ?あなたに言われなくてもそうするよ!余計なお世話……と思いながら、軽く会釈をした。


突然やってきた女は、店内の空気をかき乱し、嵐のように去っていった。

< 67 / 90 >

この作品をシェア

pagetop