カットハウスやわた
「オレ、店を持ちたかったから、十年間サーファーのフリして頑張ったよ。おかげで指名してくれるお客様も増えたけどね」


「サーファーのフリしてあんな美人ゲットするなんて……八幡さん、やり手ですね⁉︎」


「いやいや、麗奈さんにはちゃんと話したよ。嘘、つきたくなかったから」


残り少なくなったアイスコーヒーを一気に飲み干すと、八幡さんは続けて話した。


「店を持つことを、麗奈さんに話したらプロポーズされたんだ」


「逆プロポーズ⁉︎それなのに、男、作って出ていくなんて……」


「オレが悪いんだよ。定休日に仕事したり、麗奈さんに寂しい思いをさせたから……」


「でも、それは……八幡さんだけが悪いとは、思えませんけど……」


八幡さんは、ため息混じりで笑いながら、私に視線を向けた。


「麗奈さんも、綴喜さんみたいに……もう少し、大人だったらなぁ」


寂しく光る大きな目に、切なさを感じた。



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