カットハウスやわた
「綴喜さんの相談に乗る予定が、オレの話を聞かせてしまってごめんね」


「八幡さん、謝りすぎですよ!熊野さんのことは……もう少し、考えます。まだ、新しい恋をしたくない気持ちもありますから」


「そうか……。また何かあったら、相談してね!」


「私のことは、いいんですよ?八幡さん!やり直すかどうするか、私にも報告して下さい」


「うん……」


「ありがとうございました!」


アイスコーヒーを飲み干すと、立ちあがってペコリと頭を下げた。


「こちらこそ、ありがとう」


八幡さんも立ちあがると、ペコリと頭を下げた。目が合うと、なんだか照れ臭くなって、はははと笑った。


八幡さんの店を後にして、私は、駅前の本屋に向かった。転職情報誌を買うと、家路を急いだ。


八幡さん……私がいたから返事を先送りしただけで……やり直すんだろうな、きっと。


夏が私を追いかけてくる。秋には、この商店街とさよならしているかもしれない……。




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