カットハウスやわた
「おはよう、真矢ちゃん」


年下のくせに(年齢は聞いていないけれど、おそらく)相変わらずタメ口の接骨院の息子。


「おはよう」


私も、同じように挨拶をした。


「朝から暑くて、嫌になるね」


「そうだね。なんかヒンヤリするもの、ないかな?」


「真矢」


えっ?どうして……。
背後から昨日、久しぶりに聞いた声がして、背筋がヒンヤリとした。恐る恐る、振り返る……。


そこにいたのは紛れもない、正樹の姿。
ど……どうしてわかったの⁉︎


「昨日、商店街の散髪屋で働いている……って言ってたから探したんだ」


しまった……。
天然の私を、恨んだ。


「来てもらっても、話すことないから」


そう言って店に入ろうとドアを開けた瞬間、正樹にグッと手首を掴まれた。


店のドアが小さくカラン……と鳴った。



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