カットハウスやわた
八幡さんが時計に目をやった。開店の十時まで、あと少し、時間があった。店内はエアコンが効いていて快適だった。八幡さんに促され、私が椅子に座ると、向かい側に座った。
「もし、正樹さんのところへ行くなら、オレは止めないから……ね?」
「で、でも……八幡さんが……」
麗奈さんと離婚したらひとりぼっちになる八幡さんが、気になった。いや……。離婚したらひとりぼっちになるから八幡さんが気になるのか、それとも私……。
「オレのことは、気にしなくていいよ。綴喜さんがこの商店街に来た時には、オレはひとりで散髪屋をしていたんだから……」
たしかに。言われてみればそうなんだけれど……。大きな目が、寂しげに笑っている。なんだか、ほっとけない。
「寂しく……ないですか?」
私の問いに、小さくうなずいて返した。
「ありがたいことに常連さんもいるし、時々、商店街の連中と飲んだり、おいしいものを食べたり……。店を臨時休業にしてサッカーを観に行ったり…。寂しくなることは、ない」
「ホントに?」
「……だから、綴喜さんは、自分の気持ちに正直に生きて?まだ、若いんだから、いくらでもやり直せる……」
自分の気持ちに、正直に……。私は今、何処にいるべきなんだろう?誰といるべきなんだろう?
その時、店のドアがカランコロンと来客を告げた。
「いらっしゃいませ」
とりあえず、今は、此処にいよう。今夜、正樹と向き合えば……自然と答えが出るはずだから。
「もし、正樹さんのところへ行くなら、オレは止めないから……ね?」
「で、でも……八幡さんが……」
麗奈さんと離婚したらひとりぼっちになる八幡さんが、気になった。いや……。離婚したらひとりぼっちになるから八幡さんが気になるのか、それとも私……。
「オレのことは、気にしなくていいよ。綴喜さんがこの商店街に来た時には、オレはひとりで散髪屋をしていたんだから……」
たしかに。言われてみればそうなんだけれど……。大きな目が、寂しげに笑っている。なんだか、ほっとけない。
「寂しく……ないですか?」
私の問いに、小さくうなずいて返した。
「ありがたいことに常連さんもいるし、時々、商店街の連中と飲んだり、おいしいものを食べたり……。店を臨時休業にしてサッカーを観に行ったり…。寂しくなることは、ない」
「ホントに?」
「……だから、綴喜さんは、自分の気持ちに正直に生きて?まだ、若いんだから、いくらでもやり直せる……」
自分の気持ちに、正直に……。私は今、何処にいるべきなんだろう?誰といるべきなんだろう?
その時、店のドアがカランコロンと来客を告げた。
「いらっしゃいませ」
とりあえず、今は、此処にいよう。今夜、正樹と向き合えば……自然と答えが出るはずだから。