カットハウスやわた
「そんなろくでもない上司のいる会社は、辞めればいい。あなたは、まだ若いみたいだし……」


「……二十五です……」


「じゃあ、大丈夫だ。いくらでも再就職できる。最初は、バイトからでも正社員として雇ってくれるところもあるし、ね。問題は……」


「問題?」


「正樹さん……のこと」


私は、手で口を覆った。さっき、呟いたこと、バッチリと聞かれていた。


「もう……終わりですね」


自分で口にして、悲しくなった。悲しくなって、腹立たしくなって、惨めになって……。でも、終わりたくないとも思った。


「まぁ、まだ若いから、大丈夫だ」


八幡さんは、小さく「ごちそうさま」を言うと、後片付けのために席を立った。


今日、初めて会った人になんて恥ずかしい話をしたんだろう……そう思うと同時に、初めて会った人だからこそ、包み隠さず言えたのかもしれないとも思った。


もう、こんな遠くに来ることもないし、八幡さんに二度と会うこともないだろうから……いいか。



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