甘い甘い体
バレンタイン
ひとつだけ
●結衣
2月14日土曜。
今日はバレンタイン
ノリは今日は学校って言ってたから、終わったらうちに来る予定。
実は生まれて初めて手作りチョコ頑張っちゃったりした。
絢乃ちゃんがお菓子作りが得意で、ひなちゃん、凛ちゃんと4人で作ったチョコ。
お菓子作り自体が初めてで。
ホントに普通のチョコ。
売ってるチョコのが美味しいかもしれへん。
でも、いっぱい気持ちが詰まってるから。
ノリならわかってくれるよね?
夕方5時。
そろそろかなって思ったときに玄関が開いた。
「ただいまー。」
そんな大きな家でもないけどいつも大きな声を出すノリ。
「おかえりー。」
出迎えるほどでもない距離。
私は座ったまま玄関に目を向ける。
「おっも・・・・・」
ノリは斜め掛けのいつものカバンと、大きな紙袋をドサっとソファに置いた。
え・・・・・・?
「なにそれ・・・?」
聞くまでも無い。
見ただけでわかる。
「チョコー。こんなに貰っても食べれないっつの。」
大きな紙袋の中には30個はあるだろうチョコ。
赤やピンクや黄色い、可愛らしいラッピング。
「重いなぁ。こんなに食ったら太るなぁ」
紙袋の中のチョコを一つ手にとって私に差し出した。