甘い甘い体



「はい。結衣甘いのスキでしょ?」


何の悪びれもしない言い方。


そのチョコをテーブルの上に置くともう一つ取り出し、ラッピングを開けだすノリ。



「おっ、これ手作りじゃん。」




面白くない。


なんで?


なんで他の女の子がノリを想って用意したチョコ食べなあかんの?



ノリがモテるって話は仁から聞いたことある。



チョコだって他の子から貰ったりするやろうなってちょっとは思ってたよ?



黙り込んでいる私に向かってノリが首をかしげた。



「結衣?」


「いらん。」


そう言って、テーブルの上のチョコを紙袋の中に放り投げた。


「へ?結衣チョコスキじゃん。」


「チョコは好きやけど、そのチョコはいらんのっ」


そう言い切って台所へ向かった。


と言っても狭い部屋、視界から外れることは無い。


ノリも。あのチョコの山も。







いや。


嫌なもんは嫌。


他の女の子がノリの事を好きでいることが嫌。


私の知らないところで、ノリを思った子とノリがしゃべってるのが嫌。



ノリを思って作ったチョコ。


あの紙袋に入ったチョコも、この冷蔵庫に入ってる手作りチョコも・・・


同じ。


あの紙袋にいっぱい入ってるチョコと同じ。



それが嫌・・・


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