甘い甘い体


●ノリ



さっきから泣き止まない結衣。


言いたいことはわかるよ。


他の子からチョコ貰った俺が嫌なんでしょ?



実は、わざとだったりして・・・・




ヤキモチ妬いてほしいなぁなんて思った俺ってバカ?





怒ったり泣いたりする時、子供みたいに自分のこと「結衣」って言う。


なんかそれが可愛かったり。



いつもしっかりしてて、大人な考え持ってて、友達からも一目置かれてる結衣。




でも、俺の前だけ、甘えんぼになったり、泣き虫になったり。


そんなことが俺はすごい嬉しかったりするんだ。



結衣の腰に手を当て、引き寄せる。


小さい結衣の体をふわって抱きしめた。



結衣の長いクルクルの髪からいい匂いが鼻をくすぐる。




「大丈夫、全部義理だから。」



結衣の耳元で優しくささやく。



「え・・・・?」


涙目で真っ赤な顔した結衣が俺を見上げる。


結衣の頬を流れる涙を優しく拭い



「本命なんて貰うわけないじゃん、本命は一個だけ。結衣からのしかいらない。」


笑顔で言うと。



「だ、だって、手作りもあるって・・・」


不安そうな目が俺を見る。


「あぁ、あれは節約好きの子の。義理だから買うより作る方が安いって言われたし。
それに、本命にあげるのは一番上手に出来たやつだって、俺らのは失敗作。」


「でもっ・・・義理にしては多くない?」


「最近友チョコって流行ってるじゃん。クラスの女子がクラス全員に配ってんの。
コレなんて、ほら、チロルチョコだよ?」


そう言って俺の手の中のチロルチョコを見せると。



「・・・・・でも・・・一個ぐらい本命あるかも・・・」


ソファの上に置いた紙袋を見ながら結衣が言った。


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