甘い甘い体



不安そうに俺を見上げる結衣をギュッと抱きしめた。


いつまでたっても伝わらない気持ち。


結衣が不安になることなんて一つも無いのに。



どうしたら全部伝わるんだろう



「俺は、結衣のしかいらない。」



小さく呟いた。



夏前に一緒に買ったおそろいの指輪。


薬指を拒んだのは、俺に自信がないから。



まだ、学生で、実家に住んでて。



学費だって生活費だって全部親に頼ってる。



そんな子供の俺が、結衣を幸せにするなんて言えないから。









ちょっとした出来心で義理チョコ集めたりしたことを後悔した。




「ごめん・・・・信じてないわけじゃないねんっ・・・ただ・・・・」



泣き止んだと思った目からまた涙がこぼれる。



俺が黙ったから、また不安がらせてしまった。




「自信がなくって・・・・自分にっ・・・だからっ・・・・」



あぁ・・・・結衣も同じ気持ちだったんだ・・・



やっぱ俺ってバカ。


なんでこんなに泣かせてんだろう。



俺の服をギュッと握る手。



その手を優しく取って、結衣と目線を合わせる。



「俺も。」



そう言って、めいいっぱいの気持ちを込めてキスをした。




< 116 / 139 >

この作品をシェア

pagetop