甘い甘い体

「さみーなぁ・・・」


ポケットに手を入れ背中を丸めて歩く。


ひなの家から5分も歩けば俺の家に着く。


近すぎるってのも問題で


会おうと思えばいつでも会える。


だから、デートって数えるくらいしかしたこと無かったっけ?



今度、誘ってみよう。



ひなの喜んだ顔がスゲー見たくなった。



角を曲がって家が見える。



「あれ・・・?」



家の前の玄関で小さく座ってる人影。




思わず俺は走り出した。



なにやってんだよ。



こんな真冬の夜中に。



遠くでも愛しいその子姿がわかる。




「何やってんだよ!!」



俺が近寄って腕を引っ張って立ち上がらせる。



びっくりした、ひなは、俺を確認するとぱぁっと笑顔になった。



「よかったぁ・・・帰ってきた・・・」



「帰ってきたじゃねーよ!何やってんだよこんな夜中に!」



今のひなと俺にはすごい温度差がある。


でもお構いナシのひなは手に持った紙袋を俺に差し出した。



「チョコ・・・・今日中に渡したくて・・・・」


受け取ろうとして触れた手は想像以上に冷たかった。


「何時から・・・・待ってたの・・・?」


「えっと・・・・10時頃から・・・・・」


時計を見るともう12時を過ぎてる。


2時間以上、この寒空の下、俺のこと待ってたの?


「なんで電話しねーんだよ・・・」


「先輩と会うって優君楽しそうだったから・・・・邪魔しちゃ悪いなって思って・・・
でも、ホントに渡せただけで十分だよ?ちょっと・・・時間過ぎちゃったけど・・・」


ひなは残念そうに自分の左腕についた腕時計を見る。


去年、受験前俺がプレゼントしたヤツ。


ずっとこの腕にあるんだよな、この時計は・・・




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