甘い甘い体
いきなり腕を引き上げられ、体を起こされる。
「じゃ、結衣んちまで行く?」
思いも寄らない言葉だった。
ギュッて胸が締め付けられるぐらい苦しくて、目が潤んでいくのがわかる。
悔しくて、唇をギュッと噛み締め涙を堪えた。
小さい声で
「・・・・・・いい。」
そう言って、ソファから立ち上がった。
このまましゃべったら泣く。
ここで泣くのがどうしても許せなかった。
一緒に居たいって思ったんだもん。
チョコ渡せただけでも満足だけど、待ってたら泊めてくれるって・・・思ってた。
一緒に居たいって気持ちは一緒って・・・・自信持ってた。
図々しかったのかな?
優君は私と一緒に居たくない時もあるのかな・・・?
優君に背を向けたまま床に置いたカバンを持つ。
『帰る』って言おうと思ったその時
「うそ、行くなって。」
急に背中が温かくなって、耳元に熱い息がかかる。
下を見るとおなかの前で交差する腕。
我慢してた涙がブワって一気に溢れ出した。
「泣くなって・・・」
「だって・・・・・」
「ごめん、でも、嘘はダメなんだよ。」
「わかってるっ・・・・でもっ・・・」
「チョコだったら明日でもよかったし、今だってホラ、もう14日過ぎてんじゃん。」
「だって・・・・他の誰かが先に渡してたらって・・・」
「ひな以外からのチョコは受け取らない。」
「でもっ・・・去年は・・・・」
「受け取ってないし、誰から聞いた?」
「・・・・今日子が・・・優君にチョコ渡した子が居るって言ってた。」
優君はちいさなため息を吐き私をソファに座らせて、向かい合わせに座る。
私の頬の涙を親指で拭いながら
「呼び出されて、チョコ出されたけど、受け取ってない。去年は俺チョコゼロ。」
優君は私の目を見て言った。