甘い甘い体
●智久
そうやって、いつも嬉しそうに仁さんの話しするんだ。
二人が仲いいって知ってるよ?
でも、今一緒に居るのは俺じゃん。
その度機嫌悪くなるけど、絢乃ちゃんは構わず話を続ける。
かわいく笑って、普通に話しかけられて。
なんか許しちゃうっていうか、怒ってても無駄かななんて思ったり。
「ね~、このお玉。かわいいよー」
無邪気に選んでる絢乃ちゃんが可愛くて。
「ぷ。ブタ?綾乃ちゃんそっくり。」
持つところがブタの顔になってて。
冗談でそう言うと。
頬を膨らませて
「む、何ソレ・・・・」
なんて可愛くいうから
「ほら。」
って絢乃ちゃんの鼻の先を人差し指で上に押して
「そっくり。」
なんて、調子に乗って言うと。マユをへの字にした絢乃ちゃんが
「もうっ。鍋作って智くんに一番に食べさせてあげようって思ってたけど、やめたっ」
えぇ?!今なんっつった?
「え?!マジで?!ごめんっ、ごめんって。冗談だよ!」
今まで何回もデートに誘ったり、電話したり、メールしたり。
俺頑張ってたんだよ?でも一回も絢乃ちゃんちに入ったことないし!
手料理なんて夢みたいなんだけど!!
「怒ったもん。もうムリ。」
なんて俺に背を向ける絢乃ちゃん。
いつも怒る顔が可愛くて、冗談言ったりしてたけど。
今は可愛いなんて思ってる場合じゃないって!
俺は必死に絢乃ちゃんの機嫌を伺う。
「あ、あのカフェのケーキ食べようか。あ、あそこのカフェラテ美味しいんだよ?」
なんて雑貨屋から見える向かいのカフェを指差すと
「いいよ。太っちゃうもん。」
なんて怒り続けてる絢乃ちゃん。