甘い甘い体


●絢乃


「大丈夫だって。絢乃ちゃん太ってないじゃん!」


「あ、ほら、この手袋可愛いよ?」


「このマフラー絢乃ちゃん似合いそう!」


なんて。


さっきから私の機嫌伺う智くん。


必死にしてる姿が可愛くて。


ふん、いつもの仕返し。なんてちょっと楽しかったり。


なんて心の中で笑ってると



「はぁ・・・」


小さくため息が聞こえた。


不思議に思ってゆっくり振り向くと、捨てられた子犬みたいな目をした智くん。



「ほんと、ごめん。機嫌直して?俺、絢乃ちゃんの手料理食べたい・・・」



しゅん、って音が聞こえてきそうなぐらい落ち込んでる智くん。


あ、ちょっと虐めすぎちゃったかな?



「うそ。怒ってないよ?」


にっこり笑って、下を向く智くんの顔を覗くと


今度は顔を真っ赤にして


「マジで?!はぁぁ~、俺、本気で嫌われちゃったかと思ったよ~」


なんてホッとしてる。


「よしっ、じゃ、鍋選ぼう!んでスーパー行って、あ、俺、しゃぶしゃぶがいいな~」


なんて。


「えっ?今日??」


「え?違うの?俺、今日がいい!ダメ?」


「あ~・・・うん。・・部屋ちらかってるし・・・」


「大丈夫!俺片付けるし!」


「いや、それも困る!」


「大丈夫だって、俺、片付けるの上手だよ?」


「えっ・・・でも・・・」


「ほら、選ぶよ!俺、この黄緑のがいい!」



なんて、押されちゃって・・・


どうしても弱いんだよね、智くんの



「ね?お願い。」



この顔・・・・






< 76 / 139 >

この作品をシェア

pagetop