甘い甘い体



その日、凛ちゃんを電話で呼び出し、一日中買い物に連れまわされた。


凛ちゃんはいつもかわいくて安くて似合うものを選んでくれる。




家に帰って、買ってきた服を広げる。


「って、この服、いつ着るんだろ・・・?」


『勝負はクリスマスやね!』って結衣ちゃんは言ってたけど、クリスマス、一緒に過ごすって決まったわけじゃないし・・・


智くんだって、もう予定があるかもしれない・・・



「はぁ・・」


小さくため息が出る。


その時、電話が鳴る


「あ・・・・」


『絢乃ちゃん?』


ボタンを押し、電話を耳に当てると、落ち着く、優しい声が聞こえた。


「智くん」


『何してた?』


「あ・・・うん。今帰ってきたトコ」


いつもなら服買ったんだって報告するんだけど、なんだか今日の買い物は言えなかった。


だって服選ぶときだって結衣ちゃんも里香ちゃんも『勝負服勝負服!』って言うから・・・・


『そ・・・・か・・』


小さな智くんの声が聞こえたあと、少し沈黙になる。


『あのさ、今度の土曜、何してる?』


智くんはいつも誘ってくれるとき、控え目に聞いてくる。


私の予定を優先してくれて、あわせてくれる。


「あ・・・ごめん、仁君と約束してて・・・・」


そしてまた沈黙が出来た・・


なんでだろ。いつもこんな事無いのに。


『すき』って気持ちに気付いたから?


私が変なのかな・・・



『そっか・・・じゃ、ごめん、それだけ。』


「え?あの・・」


『じゃ』


そう言って、一方的に電話を切られてしまった。


いつもこんな事無いのに。


急にどうしたんだろう。



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