甘い甘い体
電車に乗って、外をボーっと眺める。
どうしても考えちゃうんだ。
あの電話、なんだったんだろうって。
いつも智くんが誘ってくれるけど、予定があって断ったことは初めてじゃない。
断ったときは、『じゃ、次の日は?』ってすぐ他の日を誘ってくれるのに・・・
「絢乃?」
仁君はおにいちゃんみたいで、すっごく頼りになって、なんでも相談したり、なんでも話してた。
慣れてきて、うるさいぐらいいつも話しかけてたから、電車に乗って黙り込んだ私に不思議に思ったみたい。
「なんかあった?」
私って分かりやすすぎるのかな・・・
「ん・・・・」
智くんを好きって気付いたことや、誘われたときの電話のこと。
不安なこと全部、仁君に話した。
「そっかぁ・・・」
話終えたところで、ちょうど降りる駅に着いた。
仁君はホームの椅子に私を座らせると『ちょっと待ってて』とどこかへ行ってしまった。
5分ほど待って、仁君が帰ってきて駅を出る。
駅から出てから、さっきの話した内容と全然関係ないことをしゃべりながら、10分ぐらいしたところで木造のお洒落なカフェの前に着いた。
「え?ここって・・・」
ドアに手を掛けたところで仁君が振り向き
「ちょっとお茶しよ。」
そう言って中に入っていった。
私も続いて入ろうとしたぐらいのところで
「おぉ、仁じゃん、珍しいなこんな時間に」
中から声が聞こえた。
仁君の後ろについて中に入る。
ダーツがあったり、大きなテレビがあったり、カフェって言うより、バーって雰囲気のお店。
照明も暗くてちょっと怖いかも・・・
キョロキョロ店を見回していると、奥のテーブルにいつもよく見るダウンジャケットが見えた。
あれ・・・・?智くん・・・・?
智くんの周りには男の子が一人と女の子が2人。
楽しそうにダーツしてる・・・
ぼーっとそこを見てると
「うぉっ!珍しいじゃんっ仁が女の子連れてる!!」