家出少女と風花寮
「で、………それで、ふたりはどこまでいったんだい…………?」

「りおちゃん鼻血」

「キキキ、キスはしたのかい!?」

「したよ」

「そそそれは、ファーストキスでありますか!?」

「もちろん」

淡々と答える弟に、青木君はとても興奮している。
生まれた時から一緒なら、してても、初めてでも、あり得る話でしょうに。

「互いの裸を見たり触ったりも………」

「するよ」

双子は毎日一緒にお風呂入にってるのだから、当然でしょう。
背中の流し合いくらいしますよね。

「こんなことで顔赤くして、ほんと、兄さんはかわいいなぁ」

「はうぅん……」

よしよしと兄を構う弟の姿。
ついに青木君が血の噴水をあげ、萌え死んだ。

……彼は、どんな妄想をしていたのでしょうか。
とても幸せそうに意識を飛ばしている彼を、愛おしそうに中島君が介抱する。
そして、今度は園田弟が質問する番。

「中島先輩、よくそんな変態オタクと一緒にいられますね」

「えー、りおちゃんかわいいじゃん」

「お守りする為に一緒にいるって? 馬鹿馬鹿しい」

「それを言うなら、シュウちゃんだって、アキちゃんのおもりしてるでしょー」

「…………お守り、ではないと思いますが」

「シュウちゃん、アキちゃんのことすごく大事にしてるよねー」

「当たり前です。兄さんはこんなにもかわいいんですから」

「それといーっしょ!」

「………同じかはわかりかねますが、先輩が青木君を好きなのはわかりました」

「好きを超えて、愛してる」

「キャー!!」

青木君は復活した。
そして、中島君に詰め寄る。

「今、愛してると、愛してると言いましたよね!」

「言ったよ」

「中島氏かける双子弟ですかな! 引き離された双子兄は、家庭的不良北山君が慰めていい感じになるのですねわかります!!」

「けんごかけるりおちゃんだよー」

「兄さんは渡さない」

「まったまたご冗談をー。今双子弟に中島氏が告白するところ、この耳でちゃーんと聞きましたよ!」

「そうだね。シュウちゃんに、オレはりおちゃんを愛してるって告白したよ」

「…………は?」

中島君は、自ら飛び込んできた青木君を逃げられないように抱える。

「こうして飛び込んできてくれたってことは、オレの気持ち受け入れてくれるってことだよねー」

「…………詐欺だ。今からでも間に合う、双子弟を愛してると訂正して……」

「認められませーん」

「イーヤー!!」

「オレの部屋いこっかー」

もがき抵抗する青木君を両腕で抱えて、中島君は居間を出て行った。

残された私達は、見慣れた光景に動揺することもなく。
ただ、散々話のタネにされた園田兄の赤面だけはしばらく治らなかった。
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