家出少女と風花寮
北山君を探して降りると、彼は庭にいた。

「お待たせしました」

「おう」

そして、洗濯物を干していた。

「じゃあ、そこのを広げて渡してくれるか?」

「はい」

私はかごに入ったしわしわの服をはたき広げ、北山君に渡す。
この作業を何度か繰り返した。
誰のものかわからないパンツ相手に、恥ずかしがっている暇はない。

「終わったな」

「次は、どうしましょう」

「次かー………」

彼は庭に出るために使ったサンダルを脱ぎ、縁側から上がる。

「……そうだな、買い物にいくか」

「わかりました」

「欲しいものあった時のために、財布持ってきな。待っててやる」

「はい、すぐに来ます!」

小走りで2階の自分の部屋に行き、財布の入った鞄を引っ掴む。
階段を駆け下りると、目の前には靴を履いて待つ北山君。

「すみません、お待たせしました」

「待ってないよ。じゃあ行くか」

「はいっ」

風花寮を出て、北山君についていくこと15分。
スーパーマーケットに着いた。

「ここが寮から一番近いスーパーな」

「はい」

慣れた手つきで籠を取り、野菜を選ぶ。
その顔は真剣そのもの。
私は後ろから見守っているしかない。
野菜の次は生麺、肉と続く。

お目当てのものは一通りかごに入れたのか、振り向いた。

「ゆきはなんか欲しいのはないのか? ジュースとかお菓子とか」

「…………今は思いつかないです……」

「了解」

最後にアイスモナカをかごに入れ、会計を通す。
マイバッグに買ったものを入れ、店を出た。

寮につくと、冷蔵庫に買ったもの仕舞っていく。
なぜ、買ったものに名前を書かないんだろうと疑問を抱いていたところに。

「これな、お使いみたいなもん。大家さんの負担を減らすため、手伝ってんの。もちろん、後で請求はするよ」

レシートをひらひらさせる北山君が説明をくれた。

「それと、これは俺個人で買ったもの」

冷蔵庫に入れなかったアイスモナカの袋を開ける。
中身を半分に割り。

「俺からのお礼。荷物持ちお疲れ様。助かったよ。一緒に食べようぜ」

「ありがとうございます」

差し出されたものを受け取る。
居間でそれを並んで食べた。

「あの…………」

「うん?」

「…………北山君はいつもお手伝いしてるんですか?」

「いつもじゃねぇよ。大変そうなら手伝う。当たり前のことだ」

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