【完】お隣さんは泥棒さん!?



「…で、なんで着いてきてんの?」


「だってまだお茶飲みきってないし♪」


「ずうずうしい。なんなの」


「よく言われるよ。でもそうじゃなきゃホストなんてやってらんないよ」


「…あっそ。でもあたしも同じような職種なんだから、ホストの技なんて使っても効かないから」


「使おうとも思ってないよ?使ったって無意味なんてとっくに分かってるからね」


「…さっさとお茶飲んで帰って」





あたしはため息をつきながらリビングのソファに座ってもたれかかった。


疲れが一気に流れていく気がする。

…今日もたくさん客の相手したし、ドロボーにも会って余計疲れちゃった。




あたしは迷うことなく彼の事をドロボーと呼ぶことにした。



「このお茶美味しいね」


「…市販よ」


「花梨ちゃんが入れたから美味しいのかな」


「ホスト技使ってない?それ」


「あははっ」




笑ってごまかすとか…。


この人ホストで何位くらいなんだろう。



あまり高い方ではなさそう。

あたしだったら絶対こんな人指名しないし。




「ちなみに俺どこでホストやってるか知ってる?」


「知らない」


「そっかぁそうだよなぁ。一応スナック清香の目の前でやってるんだけど」


「…へぇ。結構有名なホストクラブなんだね」



どうやらドロボーのいるホストは確か『star』というところ。

あたしは言ったことないけど、スナック清香と並ぶくらい高級ホストクラブって聞いたことがある。


< 12 / 97 >

この作品をシェア

pagetop