【完】お隣さんは泥棒さん!?
次の日。
あたしはいつも通りに仕事を終えて、ママに挨拶をしてから店を出る。
ママにも、starに行くともちろん伝えておいた。
『しっかり偵察してきてね』
ママに言われた言葉。
絶対完璧に偵察してやるんだから!
店の扉を開け、外に出るとそこには彼が立っていた。
「よっ!花梨!待ってたよ」
「…なんで待ってるのよ。しかも呼び捨てにしないで馴れ馴れしい」
「いやー本当に来てくれるか心配でさー。貸し切りにしちゃったし」
「行くって言ったでしょ?あたしが嘘つくわけないじゃん」
「蝶々は気まぐれだから…別の綺麗な花があったらそこに行くだろ?」
彼・・・ドロボーは少し寂しげな顔でそう呟いた。
まるで何かを思い出しているかのようだった。
「よし、皆待ってるから行こう!」
さっとドロボーは手のひらをあたしに差し出した。
王子様がお姫様に差し出す手のように。
あたしは一瞬ためらったけど、しょうがないからと思いながら手を重ねる。
ドロボーは嬉しそうにはにかんで、あたしをエスコートした。
starの入り口。
とてもきらびやかで、あたしは嫌いじゃない。