【完】お隣さんは泥棒さん!?
「…何よこれ。子供っぽい食べ物ばかり。あたしが食べるとでも思ってるわけ?」
「花梨は絶対食べてくれる。このオムライスは特にね。…だって俺が作ったんだもん」
自信ありげにそう言ったドロボー。
あたしはそれにイラっとしてそっぽを向いた。
・・・でも体は正直だった。
ぐーっと響きわたる空腹のサイン。
ちらっとドロボーの方を見ると少し笑いをこらえてるようだった。
その後ろにいるホスト達も口を押さえている。
「なんなのよあんたたち!」
あたしは怒りにまかせてテーブルに並んだ料理に手をつけた。
一口オムライスをぱくり。
「…美味しい?花梨」
にっこりと優しく微笑むドロボー。
あたしの目からは一筋の涙。
「…ん」
こんなに美味しいご飯久しぶり。
誰かが作ってくれた温かいご飯。
たくさんの人と食べる楽しい食卓。
場所はきらびやかな場所で現実的ではないけれど、確かにあたしはここにいる。