【完】お隣さんは泥棒さん!?
「…いいんですか?直人さん。追いかけなくても」
「大丈夫だ」
「でも…」
「黙れ」
「…はい。では料理片付けさせていただきます」
ここの№2である細川愁-ホソカワシュウ-(22)は浅く礼をして他のホスト達と料理を撤去し始めた。
愁は俺なんかよりも身長が高く180cmで、優しく紳士的。
俺が入るまでは№1の座に君臨していた。
俺よりも一つ歳は下だけど、ホスト歴は愁の方が上だ。
『直人、これからは君が僕の先輩だ。だからもう"愁さん"はやめてくれ』
俺は変わった。
№1ホストになってから。
花梨を初めて見かけた時とは随分と。
だから平気で元№1ホストの愁にあんな態度をとることができる。
いや、ただの妬みなのかもしれない。
俺の最愛だった人が愁を好きになったから。
これが最大の原因だろう。
そして最愛の人は愁に恋心を拒否され、自殺した。
「…今日はもう終わりだ。皆に伝えとけ」
「はい」
俺は近くにいたホストにそう言って、店を出た。