【完】お隣さんは泥棒さん!?
「…っ!?」
公園の中にいたのはあの場から逃げ出した花梨だった。
着飾っていたドレスも髪も顔もぐちゃぐちゃで、逆にそれが愛おしく感じる。
「…ごめん。花梨」
「…」
「ごめん」
俺はアイツが自殺したあの日から
アイツの面影がある花梨に恋をした。
俺のきていたスーツをふわっと花梨の体にかけて、軽く抱きしめる。
腕の中で花梨は震えていた。
「…怖いよぉ。助けて…あたしは…もう…」
花梨は俺に怖がっているわけじゃなさそうだった。
もっと別の何か。
その何かに脅えているようだった。
「…俺が傍にいる」
まるでアイツに話しかけているような、そんな錯覚。
俺はいつまでもアイツに縛られたままだ。