【完】お隣さんは泥棒さん!?
「そうだ。花梨卵買ってきてたよね?」
「…買ってきてたと思う」
「じゃあデザート作ろっか♪」
ドロボーは食べ終わった皿を私の元へ持ってきて、そのまま材料の卵や砂糖などを手に取りキッチンに立った。
「何作るの?」
「プリンだよ♪」
「プ、プリン!」
「どうしたの?花梨の目輝いてる気がする笑」
「…べ、別に」
プリンには少しだけいい思い出がある。
まだ優しかった頃のお母さんがあたしだけのために作ってくれた。
優しい甘さの美味しいプリン。
生クリームとかさくらんぼとか、そんな豪華なものはなかったけどシンプルなそのプリンはあたしにとって大好物だった。
『花梨、プリンだよ』
『わぁ!お母さんありがとう!』
『お父さんには内緒ね?』
『えへへっうん!』
まだ純粋で、無垢な子供。
あたしはそんな感じだった。
あの優しかったお母さんも、もういない。
「花梨は皿洗っといてくれ」
「うん」