【完】お隣さんは泥棒さん!?
現実から逃れるために行った過去のあたしの行動。
それは女の魅力を一切捨てることだった。
「見ないで…」
アルバムをまじまじと見つめるドロボー。
これでこの人もあたしからきっと離れていく。
「…へぇ随分変わったんだね」
「…悪い?」
あたしは半ばヤケクソに返事をした。
もうドロボーの方を向くこともできない。
「おさげにメガネ。うん、悪くない」
「は?」
「いいじゃん!まだ初々しいって感じ。何?花梨はさ、高校デビューなの?」
悪くない。
いいじゃん。
初めて、そんなことを言われた気がする。
あたしは夜の蝶として名が通るようになってから、男とはあまり親しくしなくても女の子の友達は増えた。
違う店のキャバの子だったり、あたしのファンって言ってくれる通りすがりの子だったり。
でも、仲良くなって部屋に呼んで…
あたしのアルバムを見た瞬間引く顔を今でも忘れない。
それから連絡を断たれるなんてことは当たり前だった。
男じゃなくて女でも見た目を重視する世の中に、あたしはうんざりしていた。
でも…
この人は…