【完】お隣さんは泥棒さん!?
-12年前-



「じゃあ行ってくるな、花梨」


わたしの頭を撫でる大きな手。


「いってらっしゃい!お父さん!」


小学五年生になりたてのわたしは、周りの子とは違ってまだお父さんのことが大好き。


「ちょっと、お弁当忘れてる!」


家の奥から急いで走ってきたのはわたしのお母さん。


お母さんとお父さんはとっても仲良しで、とってもラブラブ。


「花梨ちゃんも早く支度しないと学校遅れちゃうぞ~?」


「はーい!」



今日もいつも通りの朝を迎えて、いつも通りに終わっていく一日。


だと思っていた。





「今日のご飯は花梨ちゃんの大好物なロールキャベツだからね!寄り道せずに早く帰ってらっしゃい!」


「本当!?やったぁ!いってきます!」





お母さんのロールキャベツは大好物で、その日も学校から寄り道せずにまっすぐ家に返ってきた。



家の玄関に手を伸ばし、開けようとした瞬間。



パリーンパリーンと家の中からお皿が何枚も割れる音がした。


わたしはびくっと驚きながらも、そーっと家の中に足を踏み入れる。



「ただいまぁ…。お母さん?」
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