【完】お隣さんは泥棒さん!?
花梨はまた細々と話し始めた。
花梨の父親は金がないからと、花梨を毎日のように男たちの元へ行かせたらしい。
「毎日、毎日。女を捨て去ったはずのあたしだったのに男たちは若いからって見る目が変わったわ。眼鏡もおさげも外してしまえばあたしそのものだものね」
父親にも抱かれ、知らない男たちにも抱かれた花梨は疲れ果てていた。
そんな花梨のことを知った母親が…。
「お母さんは毎日夜遅くに出かけるあたしと父親を見て相当怪しんでたわ。親子の関係を超えているなんてありえない。でも…ってね。そもそもあの父親のあたしを見る目が違ったもの。そりゃあ女性なら気づくわよね」
「…」
「お母さんはある時あたしたちをつけてきたらしいわ。ラブホテルにあたしと父親が入っていく姿を見て絶望を感じたそうよ。でも出てきたときはもう一人知らない男が一緒にいて余計に絶望。お母さんは乱れたあたしを見ても一歩踏み出して助け出せる勇気はなかったらしいわ」
花梨の母親はそれからうつ病。
そして父親を刺した。
「父親が死んでも男たちに抱かれるのに変わりはなかったわ。逆にお母さんも警察に捕まってて、あたしの居場所はそいつらの元だった」
花梨は涙を拭いてこう言った。
「そんなあたしを救ってくれたのがあのお店」
「…教えてくれてありがとな。花梨」
「…これでも引かないの?」
「引くわけないだろ。むしろ…助けたいよお前を」
「…バカ」
どう助ければいいのか分からない。
それにもう一つの真実を俺はこれから知ることになる。