【完】お隣さんは泥棒さん!?
「それで今のあなたが生まれたのね」
「ええ、そうです」
「やっぱり、似てるわ」
「…カリンさんは教えてくれませんか?」
「似てる、ってことで感づいてくれないのかしら?元No.1さん?」
「…」
俺はふっと笑い、頷いた。
そしてカリンをそっと抱きしめた。
「何してるの?」
「…似た者同士、ただの情けですよ。今の貴女はとても弱い気がしたから」
「馬鹿ね。あたしはもう強いわ」
俺は叶わない恋をした。
絶対に叶わない恋を。
どうしてそう思うかって、
カリンとの未来を想像しても浮かんでこないから。
「カリンさん。もういいですよ直人さんの元に戻ってください」
「もういいの?」
「はい」
「それじゃあね」
カリンは後を惹く訳でもなく、部屋を出ていった。
俺はカリンにとって俺の存在が少しでも残ってくれるようただ祈り、その様子を眺めているだけだった。