【完】お隣さんは泥棒さん!?

今井花梨

【今井花梨side】



あたしはVIPルームを出てほっとした。

あのまま彼と一緒にいたら、どうにかなってしまいそうだったから。



『…似た者同士、ただの情けですよ。今の貴女はとても弱い気がしたから』


あたしの全部が見透かされているような気がした。

余裕ぶって部屋を出たけど、内心焦っていた。



このままでは彼に飲み込まれてしまう、と。






あたしは気を取り直してドロボーの元へ戻った。





「おまたせ」


「…遅い」



ぶすっとして座っているドロボー。

あたしはそれを見て少し心が穏やかになった。


「…何話してた」


「ナイショ」


「…おい!誤魔化すなよ」


「…大した話じゃないわ。気にしないで」


「…」



あたしの返答が気に入らなかったのか、ドロボーは前のようにあたしをもてなしてはくれなかった。


でも、少しだけドロボーのことが可愛いと思ってしまったのは秘密。
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