【完】お隣さんは泥棒さん!?
俺は花梨を早々に帰らせ、いまだVIPルームから出てこない愁の元へ向かった。
「おい、愁」
「…」
扉を開けた先には少し服の乱れた愁がいた。
「ああ、直人さん」
「…お前」
「カリンさんはどうしたんですか?もう一緒じゃないんですか?」
不敵な笑みを浮かべる愁。
俺はそれに一層心が震えた。
「…関係ないだろ。そんなことよりお前花梨と何を話してた」
「何って…聞かないで下さいよ」
「…なんだと?」
「見て、分かりませんかね?僕の乱れた服。そして…これ」
愁が持っていたのは女性もののパンツだった。
「…なっ」
「状況がすぐ読める。だから女性にいい言葉がかけられる。そしてNo.1の座を手に入れる。そんな感じじゃないですっけ?ホストって」
ああ…。
俺はまたこいつに奪われたんだ。
「直人さんにとってカリンさんはどんな存在ですか?」
やっぱり二人きりにするべきじゃなかった。
「…ただの女だよ」
俺は愁を怒鳴ることもなく、一人VIPルームを出た。