【完】お隣さんは泥棒さん!?
「とりあえず、店の中にでも入ってください」
「…いいの?」
「ええ」
明らかに仕事帰りという服装。
肌の露出が激しく、いくらカリンが知られている町中とはいえ一人でいれば襲われてしまう可能性もないとはいえない。
「僕のカクテルでも飲みますか?」
「カクテルより温かい飲み物が飲みたいわ」
「じゃあホットココアでも」
「それがいい」
前とは違い少し子供っぽい一面を見せるカリン。
俺は自分でココアを作り、カリンに持ってきた。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
ココアを一口飲むとカリンは少し落ち着いた様子だった。
「…どこ行っちゃったんだろう」
「この店も大打撃ですよ。なんたってNo.1がいなくなっちゃったんですから」
いなくなったきっかけはきっと俺ではないかと思う。
あのVIPルームの時以来から直人は来なくなったから。
だとすると直人もカリンのことを好きだったんだろう。