【完】お隣さんは泥棒さん!?
「直人くん」
「…」
「電話、終わったかしら?」
「…」
「何があったのか知らないけど、そろそろ行かないと修二郎が怒るかもしれないから…」
「…はい」
「覚悟は決めてる?」
「…それは、とっくに」
「でも顔が迷ってる」
「…今更ですよ。本当に」
「自分の心に素直になるのもいいことかもしれないわ」
「え…」
「あなた、カリンが好きなんじゃない?」
「…ど、どうして」
「お店の裏でよくカリンが笑顔で話してくれたわ。あなたとの楽しい時間のこと」
「…そう、ですか」
清香ママは俺から顔を背け、静かにこう言った。
「でも、カリンはやめなさい」
「…!!」
「修二郎も言っていたでしょう?」
そうだ。
確かに親父もそう言っていた。
でも、なぜ…?