【完】お隣さんは泥棒さん!?

「だいたい察しがつくだろ。冷静になれば」



親父は俺の言葉を聞いた後、黙って近くの組仲間に目で合図をした。


合図をされた人はすかさず部屋を出ていった。



「…ああ、直人。お前の言うとおりだ。俺はカリンに執着している」


「…」


「可愛かった。子供の頃も、そして今も」


「気持ち悪いんだよ。その歳で。結婚もしてる、愛人もいる、新しい妻もできるんだろ。いい加減花梨を解放してくれよ」


「…カリンはなぁ、別なんだよ。俺にとってあの子は…大切なおもちゃだ」


「花梨は物じゃない。いい加減にしろ」


「俺が綺麗に成長させて、借金を返し終わったら俺の女にするつもりだ」


「そんなことできるわけねぇだろ」


「…できるさ、俺にだったらな」




俺と親父の声が部屋の中で木霊していた途中、さっきの奴が清香ママを連れてきた。


親父は清香ママの姿を見るなり、その体を床にたたきつけた。



「きゃっ」


そして髪の毛を掴まれ、顔を上にぐいっとあげられる。


「っ…修二郎」


「お前、話したな?」


「…ごめん、なさい。修二郎」


「謝って済むわけないだろ?」



親父は妙な笑顔で清香ママに答えた。

「…ごめ…」


清香ママの言葉を聞く前に、親父はポケットから何か薬を取り出し口に含む。


そして清香ママに激しいキスをした。
< 76 / 97 >

この作品をシェア

pagetop