【完】お隣さんは泥棒さん!?
「だいたい察しがつくだろ。冷静になれば」
親父は俺の言葉を聞いた後、黙って近くの組仲間に目で合図をした。
合図をされた人はすかさず部屋を出ていった。
「…ああ、直人。お前の言うとおりだ。俺はカリンに執着している」
「…」
「可愛かった。子供の頃も、そして今も」
「気持ち悪いんだよ。その歳で。結婚もしてる、愛人もいる、新しい妻もできるんだろ。いい加減花梨を解放してくれよ」
「…カリンはなぁ、別なんだよ。俺にとってあの子は…大切なおもちゃだ」
「花梨は物じゃない。いい加減にしろ」
「俺が綺麗に成長させて、借金を返し終わったら俺の女にするつもりだ」
「そんなことできるわけねぇだろ」
「…できるさ、俺にだったらな」
俺と親父の声が部屋の中で木霊していた途中、さっきの奴が清香ママを連れてきた。
親父は清香ママの姿を見るなり、その体を床にたたきつけた。
「きゃっ」
そして髪の毛を掴まれ、顔を上にぐいっとあげられる。
「っ…修二郎」
「お前、話したな?」
「…ごめん、なさい。修二郎」
「謝って済むわけないだろ?」
親父は妙な笑顔で清香ママに答えた。
「…ごめ…」
清香ママの言葉を聞く前に、親父はポケットから何か薬を取り出し口に含む。
そして清香ママに激しいキスをした。