【完】お隣さんは泥棒さん!?
「おかえり、花梨」
「あ…ああ…」
親切な顔をしてあたしに近づいてきたこの男は
一番信用してはいけない人だった。
「戻ってきたんだね記憶が」
あたしの歯はカタカタと震えている。
記憶がすべて戻ったわけではないが、体が覚えている。
「花梨」
修ちゃんはあたしに近づき、頬をそっと撫でた。
ぞわっと悪寒が走る。
あたしはドロボーの体を抱きしめ、精一杯の抵抗をした。
「…まさか、俺の息子に花梨が恋をするなんてな」
「…え?」
「花梨、直人は俺の愛人の生んだ子供なんだよ」
ああ、神様。
なんであなたはそんなにも意地悪なの。