【完】お隣さんは泥棒さん!?
数時間後。
「落ち着きましたか直人さん」
「…」
「その顔じゃあ当分ホストやれませんね」
床頭台の上に買ってきたであろうペットボトルのお茶を置きながら、愁は言った。
俺はまだぼーっとする頭を叩き起こし、愁の言葉に答える。
「もう戻らないって言っただろ」
「…ヤクザになるつもりだったんですか」
「お前には関係ない」
「関係ないって、直人さん。瀕死のあなたを助けたのは僕ですよ」
「…」
「ああ、そうだ。カリンさんが言ってました」
「…花梨!?」
「カリンさんに対しては相当食いつきが違いますね」
「さっさと言え!なんだ!」
花梨は最後にこう言ったらしい。
『直人をどうかよろしくお願いします。直人が幸せになれるようにお願いします。もう二度と、直人には会いません。愁さんお願いします。直人を…』
何度も何度も俺の名前を呼んでお願いした花梨。
ずっと涙を流していたらしい。
「もう二度と会わないって…なんなんだよ。それは俺がしようと思ってたんだよ…花梨」