翻弄される男

「降ってきたな。走れるか?」

「はい!」

先輩と、仕事終わりのディナーの帰り道。
家まであと少しという頃、突然降り出した雨に、
先輩がジャケットを華麗に脱ぎ、私を庇ってくれる。

先輩……

カッコいいです……!!


痛いほど重い雨粒を全身に受けながらも、先輩はすぐ隣で、ヒールの私に気遣いながら走っている。

その足取りは軽やかで、スマートで。

その息遣い、密着した部分に、ドキドキが止まらない。


「もう、着くからな」


う〜〜〜!!

せ、先輩。

その前に、私の心臓が……!!
もちません!!


これは、動悸……ですか?

息切れ?

それとも、ときめき?



「……?大丈夫か?」

「え!?……あ、はい!」



やっぱり、これが息切れな訳がない!

キュンキュン、ドキドキ!

これは、大好きな先輩のせい!




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